『樋口幸弘のウィンド交友録~バック・ステージのひとり言』アーカイヴ目次

第1話 “ゾディアック・ダンス”と“グロリオーゾ”
第2話 トーマス・ドス“白雪姫”騒動記
第3話 スパーク“ピッツバーグ交響曲”
第4話 スパーク・コンダクツ・スパーク
第5話 ヴァンデルローストの日本語教師
第6話 CD「オリンピカ」とベルジアン・タイム
第7話 スパーク“ウェイ・トゥー・ヘヴン”とロイヤル・エア・フォース
第8話 ドラゴン伝説の始まり
第9話 “ドラゴンの年”と“ロンドン序曲”
第10話 “ドラゴン”がやってくる!
第11話 「士官候補生」と「ハイ・スクール・カデッツ」
第12話 85%成功するコンサートの開き方
第13話 英国女王陛下の音楽大使
第14話 チャイルズ・ブラザーズの衝撃
第15話 「ジ・イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」
第16話 エリック・バンクス「世界のマーチ名作集」
第17話 ブラック・ダイク・ミルズ・バンド初来日
第18話 楽しいバンドコンサート
第19話 世界のブラスバンド
第20話 ジェイガー:交響曲第1番
第21話 ジェイガーがやってきた
第22話 ギャルド1961の伝説
第23話 ギャルド、テイクワンの伝説
第24話 ギャルド1961外伝
第25話 保科 洋「交響曲第2番」世界初演
第26話 デジレ・ドンデイヌの遺産
第27話 世界吹奏楽全集
第28話 ヴァンデルローストのマーキュリー事件
第29話 ヴァンデルローストの特別講義
第30話 ソノシートの頃
第31話 日本初の吹奏楽LP
第32話 祝・指輪物語30周年
第33話 ゴールドマン・バンドが遺したもの
第34話 ヴァンデルロースト「むかしむかし…」日本語版世界初演!
第35話 保科洋「パストラーレ(牧歌)」の事件簿
第36話 ネルソン「ロッキー・ポイント・ホリディ」の事件簿
第37話 大阪府音楽団の記憶
第38話 スパーク:ギブ・ミー・チケット・パーティー
第39話 ギャルド:月刊吹奏楽研究が伝えるもの
第40話 スパーク:シオン“111”のプロが決まるまで
第41話 「フランス組曲」と「ドラゴンの年」
第42話 ブラック・ダイク・ミルズ・バンド日本ツアー1990
第43話 大栗 裕「仮面幻想」ものがたり
第44話 朝比奈 隆と大栗 裕
第45話 祝・交友30周年 – スパークとイーグル・アイ
第46話 H・オーウェン・リードを追って
第47話 ヨーロピアン・ウィンド・サークルの始動
第48話 フィリップ・スパークがやってきた
第49話 ムーアサイドからオリエント急行へ
第50話 トーマス・ドスがやってきた
第51話 ト ーマス・ドス「アインシュタイン」の事件簿
第52話 ウィンド・アンサンブルの原点
第53話 フェネル:ピース オブ マインド
第54話 ハインツ・フリーセンとの出会い
第55話 ノルベール・ノジとの出会い
第56話 スパーク「ドラゴンの年」の事件簿
第57話 スパーク「セレブレーション」ものがたり
第58話 NHK – 生放送!ブラスFMオール・リクエスト
第59話 デメイ:交響曲第1番「指輪物語」日本初演
第60話 大栗 裕「ピカタカムイとオキクルミ」の謎
第61話 U.S.エア・フォースの初来日
第62話 U.S.エア・フォースの残像
第63話 U.S.エア・フォースの再来日
第64話 デメイ「指輪物語」日本初CD制作秘話
第65話 朝比奈隆:吹奏楽のための交響曲
第66話 大栗 裕:吹奏楽のための神話
第67話 チェザリーニ:交響曲第1番「アークエンジェルズ」日本初演
第68話 スパーク「山の歌」ものがたり
第69話 首席指揮者ハインツ・フリーセン
第70話 オランダKMK(カーエムカー)の誇り
第71話 デメイ:交響曲第2番「ビッグ・アップル」完成前夜
第72話 史上最低のコンサート鑑賞記
第73話 フィリップとロジャーの再会
第74話 「月刊吹奏楽研究」と三戸知章
第75話 大栗裕「大阪俗謡による幻想曲」こぼれ話
第76話 ヤン・ヴァンデルローストのメモ
第77話 阪急少年音楽隊の記憶
第78話 ヴァンデルロースト:交響詩「スパルタクス」の物語
第79話 ギャルドとコロムビア・レーベル
第80話 ギャルドとジャケット写真の謎
第81話 栄光のギャルド
第82話 チェザリーニ:交響曲第2番「江戸の情景」の誕生
第83話 デメイ:交響曲第5番「リターン・トゥー・ミドルアース」日本初演
第84話 ヴァンデルロースト:「高山の印象」委嘱・世界初演
第85話 U.S.マリン・バンドがやってきた!
第86話 U.S.マリン・バンド200周年
第87話 チェザリーニ:交響曲第2番「江戸の情景」への旅
第88話 「大阪俗謡による幻想曲」ベルリンへ
第89話 朝比奈隆氏を送る全関西音楽祭
第90話 デラックス版「日本の吹奏楽」
第91話 U.S.マリン・バンドの残像
第92話 かくて歴史は書き換わる!
第93話 “楽しいバンド・コンサート”の復活
第94話 エキスポ ’70と大失敗
第95話 ナショナル・バンド・オブ・ニュージーランド来日
第96話 スコッツ・ガーズと1812年
第97話 決定盤 1000万人の吹奏楽 カラビニエーリ吹奏楽団
第98話 アルプス交響曲とフリーセン
第99話 トルン聖ミカエル吹奏楽団訪問記
第100話 第1回国際作曲コンクール
第101話 グレナディア・ガーズがやってきた
第102話 NHK – 二大ウィンドオーケストラの競演
第103話 ブラック・ダイク弾丸ツアー2019
第104話 ハインツ・フリーセンの逝去
第105話 オランダ海軍がやってきた
第106話 「祝典行進曲」の初演
第107話 スパーク「宇宙の音楽」との出会い
第108話 ヴァンデルロースト「オスティナーティ」世界初演
第109話 アッぺルモントがやってきた
第110話 ニュー・サウンズの始動
第111話 スパーク「宇宙の音楽」の迷走
第112話 チェザリーニ:交響曲第2番「江戸の情景」の初放送
第113話 アイリッシュ・ガーズがやってきた
第114話 スパーク「宇宙の音楽」初演の興奮
第115話 ニュー・サウンズの素(もと)の素(もと)
第116話 ニュー・ウィンド・レパートリーの旅立ち
第117話 ピーター・グレイアムとの交友の始まり
第118話 ピーター・グレイアムがやってきた
第119話 東京佼成のメジャー・デビュー
第120話 交響吹奏楽団を夢みる
第121話 NHK – 世界の吹奏楽・日本の吹奏楽
第122話 交響吹奏楽のドライビングフォース
第123話 レイランド・ヴィークルズ初来日
第124話 ウィンド・ミュージックの温故知新
第125話 スパーク:交響曲第1番「大地、水、太陽、風」の衝撃
第126話 ベルリオーズ「葬送と勝利の交響曲」日本初演
第127話 ウェリントン・シタデル・バンドの来日
第128話 ヴァルター・ブイケンスとクラリネット合奏団
第129話 東京吹奏楽団の船出
第130話 ミャスコフスキー「交響曲第19番」日本初演
第131話 デメイ:交響曲第1番「指輪物語」日本初演
第132話 「ブラス・タイムズ」の創刊と「バンド・タイムズ」
第133話 全英ブラスバンド選手権1990
第134話 Shion 定期の再起動
第135話 我が国最高の管楽器奏者による《マーチの極致》
第136話 ジェイガー:交響曲第3番《神のかがやき》日本初演
第137話 トーマス・ドス「スポットライト」との出会い
第138話 普門館、落成の頃
第139話 我が国最高の管楽器奏者による《ブラスの饗宴》
第140話 ブリーズのデビューとブラック・ダイク
第141話 小山清茂作品集の登場
第142話 もうひとつの甲子園
第143話 デメイ:交響曲第2番「ビッグ・アップル」日本初演
第144話 ウィンド・オーケストラのための交響曲
第145話 リード「メキシコの祭り」初録音
第146話 ウィンド・オーケストラのための交響曲《第2弾》
第147話 ブリーズ・オン・ステージ
第148話 ヒンデミット-シェーンベルク-ストラヴィンスキー
第149話 市音60周年と朝比奈隆
第150話 市音の祖、林 亘
第151話 ヒンデミット・コンダクツ・ヒンデミット
第152話 大栗 裕作品集とともに
第153話 大栗 裕作品集の起点
第154話 フェネル:マーチング・アロング
第155話 フェネル「ローマ三部作」の起点
第156話 フェネル「ローマ三部作」のレコーディング
第157話 タッド・ウインドシンフォニーとの出会い
第158話 ヴァンデルロースト「いにしえの時から」ができるまで
第159話 ヴァンデルロースト「いにしえの時から」世界初演
第160話 オール関西の先駆者たち
第161話 得津武史「吹奏楽部の息子たちといっしょに」への旅
第162話 SHION TIMES(シオンタイムズ)の系譜
第163話 汐澤安彦、SHION定期を振る
第164話 得津武史「吹奏楽部の息子たちといっしょに」の余韻
第165話 日本ワールド・レコード社の記憶
第166話 アルフレッド・リード「栄光への脱出」の頃
第167話 交響詩「モンタニャールの詩」日本初演
第168話 交響詩「モンタニャールの詩」のライヴと国内初放送
第169話 「ニュー・ウィンド・レパートリー1998」に向けて
第170話 OSAKA SHION – 愛知初の主催公演
第171話 ドス:交響曲第3番「シンフォニー・オブ・フリーダム」の完成
第172話 ドス:交響曲第3番「シンフォニー・オブ・フリーダム」とタッドWS
第173話 交響曲シリーズ、監修者のつとめ
第174話 台風14号と3人の作曲家たち
第175話 フランコ・チェザリーニ、日本のステージに向けて
第176話 オール・チェザリーニ・プロの凄さ

フランスのサクソフォン入りファンファーレについてのいくつかの情報

・もともとフランスで "Fanfare"(ファンファール)と言った場合は金管楽器(+打楽器)による楽団の意で、サクソフォン発明以前から使われる語だった。
Définitions : fanfare - Dictionnaire de français Larousse

ニューグローヴ第二版…"Fanfare (4): In 19th-century France and Italy, a military or civilian band consisting mainly or entirely of brass instruments"

1855年刊の音楽事典でサクソフォンは "Instrument de cuivre"(金管楽器/金属製管楽器)と紹介されている。
Nouveau Dictionnaire de musique illustré, élémentaire, théorique, historique, artistique, professionnel et complet, à l'usage des jeunes amateurs, des professeurs de musique, des institutions et des familles... par Charles Soullier | Gallica

1850年代以降、アマチュアによる合唱団体「オルフェオン」が全国に広がり、吹奏楽(harmonie)や金管合奏(fanfare)にも波及して、コンテストが盛んに行われた。1867年の万博に合わせて行われたコンテストでは、アドルフ・サックスの楽団が"Fanfare"(金管合奏)部門に参加して優勝している。

パリ万博「音楽展」における「オルフェオン」 - 愛知県立芸術大学リポジトリ
"1867年7月14日のフェスティヴァルの翌日と翌々日に、さまざまな等級のコンクールが行われ (...) 金管合奏については楽器製造業者アドルフ・サックスの職場のアンサンブルが受賞した。"

La musique, les musiciens et les instruments de musique chez les differents peuples du monde archives completes de tous les documents qui se rattachent a l'exposition internationale de 1867 organisation, execution, concours, enseignement, organographie par Oscar Comettant : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive
博覧会の音楽関係のトピックを振り返る本で、"fanfare Adolphe Sax" という呼称でこの団体が言及されている。

・(仮説……このころサックスは金管合奏(Fanfare)に同じ"金管楽器"としてサクソフォンを入れ、それが(金管合奏の新形態として)他の団体にも広まったのでは?)

金管合奏にサクソフォンを入れた編成はこれ以前からある。ベルギーのCarabiniers (竜騎兵隊?) のために書かれたペーテル・ブノワ  "Ouverture Fantastique" (1856) には6本のフルセクションのサクソフォンが含まれる。

サクソフォンの初期の時系列…
・1841年にベルギーの産業博覧会に "Saxophone" の文字(実際に展示されたかは不明)
・1842年にブリュッセルのアドルフ・サックスの工房をフランス軍中尉の Marie-Théodore de Rumigny が訪問(春ごろ)
・サックスがパリ来訪(6月?)
ベルリオーズが賞賛記事を書く(6月12日付)
・サックスがパリに定住(10月?)
・1845年にフランスで歩兵連隊のharmonieがサクソフォン採用
・1846年に特許取得
・1857年にパリ音楽院にサクソフォン科設置
From the Clarinet D'Amour to the Contra Bass: A History of Large Size ... - Albert R. Rice - Google Books (pp. 299-300)
Journal de Toulouse : politique et littéraire | 1845-09-13 | Gallica

1873年の楽器法の本では、サクソフォンは "金管合奏 (fanfare) と吹奏楽 (musiques d’harmonie) どちらにも含まれる" との記載。サクソフォンを金属管楽器 (instruments à vent en cuivre) の章の冒頭で、"シングルリードの金属管楽器" (instrument à vent en cuivre et à anche simple) として紹介している。
Traité d'instrumentation appliqué aux orchestres d'instruments à vent | Gallica

・1875年に開かれたコンテストの部門表記に、"ファンファール(サクソフォン入り)" との記載。
Le Narrateur impartial : journal politique, commercial, littéraire et d'annonces "puis" commercial, littéraire et d'annonces "puis" journal administratif, littéraire, agricole, viticole, commercial et d'annonces... | 1875-05-22 | Gallica

1884年出版の楽譜に、"サクソフォンなしのファンファール" との記載(サクソフォン入りファンファールが相当数普及していた?)。
Le Joyeux sténographe, pas redouble pour fanfare sans saxophones, par A. L. Alquier | Gallica

・1891年のコンテストの告知。"オルフェオン(合唱)"、"Harmonie(管楽器。金管木管)"、"Fanfare、サクソフォン入りもしくはサクソフォンなし(金管)"という部門分け。
Figaro : journal non politique | 1891-06-29 | Gallica

・1909年にパリで出版された軍楽隊の楽器法の本。"Fanfare" は小編成の場合金管と打楽器のみ、大編成の場合はサクソフォンが加わる。
Traité pratique d'instrumentation et d'orchestration pour musique militaire (harmonie ou fanfare) / par J.-Louis Ithier | Gallica

19世紀の多楽章セレナード、合奏組曲、準交響曲リスト

S→独奏弦楽器、W→管楽器(金管楽器含む)、P→ピアノ、O→オーケストラ(弦楽合奏含む)

 

・W.A.モーツァルト (1756-1791):ディヴェルティメント第11番 (SW、1776) 、セレナード第10番『グラン・パルティータ』(W、1781?)セレナード第11番 (W、1781/82)セレナード第12番 (W、1782?)
ベートーヴェン (1770-1827):八重奏曲 Op. 103 (W、1792-93) ロンディーノ WoO 25 (W、1793) 、七重奏曲 Op. 20 (SW、1800)
・J.N.フンメル (1778-1837):パルティータ S. 48 (W、1803?) 、七重奏曲 Op.74 (SWP、1816?) 、七重奏曲『軍隊』Op.114 (SWP、1829)
ライヒャ (1770-1836):八重奏曲 Op. 96 (SW、ca. 1807?)
・リース (1784-1838):七重奏曲 Op. 25 (SWP、1808)、六重奏曲 Op. 142 (SWP、1814) 、八重奏曲 Op. 128 (SWP、1816)、ノットゥルノ(2曲、W、1834/36)
・ルイ・フェルディナント (1772-1806):ノットゥルノ Op. 8 (SWP、1808) 、八重奏曲 Op. 12 (SWP、ca. 1808)
シュポア (1784-1859):九重奏曲 (SW、1813) 、八重奏曲 (SW、1814) 、ノットゥルノ (W、1815) 、複四重奏曲 (S、4曲、1823/1827/1833/1847)
シューベルト (1797-1828):八重奏曲 D72 (W、1813) 、八重奏曲 D803 (SW、1824)
・カルクブレンナー (1785-1849):七重奏曲 Op. 15 (SWP、1814)、七重奏曲 Op. 132 (SWP、1835)
・C.クロイツァー (1780-1849):七重奏曲 Op. 62 (SW、1822?)
グリンカ (1804-1857):七重奏曲 (SW、1823)
チェルニー (1791-1857):ノットゥルノ・ブリラント Op. 95 (SWP、ca. 1826) 、九重奏曲 (SWP、1850)
・ベルワルト:七重奏曲 (SW、1828)
(・メンデルスゾーンノクトゥルノ (W、1824) / 管楽のための序曲 Op.24 (W、1838)
・F.ラハナー (1803-1890):七重奏曲 (SW、1824) 、九重奏曲 (SW、1820s-30s?) 、八重奏曲 Op.156 (W、ca. 1850)組曲(O、7曲、1861-1872, 1881)
メンデルスゾーン (1809-1847):八重奏曲 Op.20 (S、1825)
(・ロッシーニ (セドラク編):歌劇『ウィリアム・テル』(W、1829?)
・モシェレス (1794-1870):七重奏曲 Op. 88 (SWP、1833)
・オンスロウ (1784-1853):九重奏曲 Op.77 (SW、1848) 、七重奏曲 Op. 79 (SWP、1849)
・ゲーゼ (1817-1890):八重奏曲 Op. 17 (S、1848)
ファラン (1804-1875):九重奏曲 Op. 38 (SW、1849) 
ブルッフ (1838-1920):七重奏曲 (SW、1849) 、セレナード Op. 75 (SO、1899) 
・A.ルビンシテイン (1829-1894):八重奏曲 Op. 9 (SWP、1848-56?)
ブラームス (1833-1897):セレナード第1番(SW→O、1857-60)、セレナード第2番(OだがWに比重、1858-59)
・ブラン (1828-1885) :七重奏曲 Op. 40 (SW、1860) 、七重奏曲 Op. 54 (SWP、1978?)
・ラインベルガー (1839-1901):九重奏曲 Op.139 (SW、1862/84)
・ルベル (1807-1880):ピアノ三重奏曲第4番『セレナード』Op.25 (SP、1862?)
サン=サーンス (1835-1921):組曲 Op. 49 (O、1863) 、組曲 Op. 16 (SP/SO、1866/1919) 、アルジェリア組曲 Op. 60 (O、1880) 、七重奏曲 Op. 65 (SWP、1881) 
・ラフ (1822-1882):組曲第1番 Op.101 (O、1863) 、イタリア組曲 WoO 35 (O、1871) 、シンフォニエッタ Op.188 (W、1873) 、八重奏曲Op.176 (S、1873) 、組曲 Op.180 (SO、1873) 、組曲第2番 Op.194 (O、1874)、弦楽四重奏曲第6-8番 Op.192 (S、1874) 、イギリス組曲第3番 (J.S.バッハ原曲、O、1874) 、組曲 Op.200 (PO、1875)
・マスネ (1842-1912):組曲 (O、全7曲、1865, ca. 1870-1875, 1881, 1882)
・J.O.グリム (1827-1903):カノン形式の組曲第1番 Op. 10 (O、1866) 、カノン形式の組曲第2番 Op. 16 (O、1871) 、組曲第3番 Op. 25 (O、1895)
・スヴェンセン (1840-1911):八重奏曲 Op.3 (S、1866)
・フォルクマン (1815-1883):セレナード 第1番, 第2番 Op.61, 62 (O、1869) 、セレナード第3番 Op.69 (SO、1871)
・ヤーダスゾーン (1831-1902) :セレナード (O、番号付き全4曲、1872-1876, 1883) 、セレナード Op. 80 (WO、1880s) 、セレナード Op.104 (W、1891)
・R.フックス (1849-1927) :セレナード (O、全5曲、1874-1878, 1892, 1894)
ドヴォルザーク (1841-1904):弦楽セレナード Op.22 (O、1875) 、管楽セレナード Op.44 (W、1878)チェコ組曲 Op.39 (O、1879) 、アメリ組曲 Op. 94 (O、1894-98)
・ブリュル (1846-1907):セレナード (O、全3曲、1877, 1879?, 1893)
・パリー (1848-1918):九重奏曲 (W、1877) 、レイドノー嬢の組曲 (O、1894)
R.シュトラウス (1864-1949) :セレナード TrV 52 (O、1977) 、セレナード Op. 7 (W、1882?) 組曲 Op.4 (W、1884)
チャイコフスキー (1840-1893):組曲第1番 Op.43 (O、1878-79) 、弦楽セレナードOp. 48 (O、1880) 、組曲第2番 Op. 53 (O、1883) 、組曲第3番 Op.55 (O、1885) 、組曲第4番 (O、1887)
・グヴィ(1819-1898) :八重奏曲 Op.71 (W、1879)シンフォニエッタ Op. 80 (O、1885) 、七重奏 (W、1887) 、ガリア風小組曲 Op. 90 (W、1900)
・ハーバート (1859-1924):組曲 Op. 3 (SO、1882) 、セレナード Op. 12 (O、1884)
スタンフォード (1852-1924):セレナード Op. 17 (O、1882?) 、組曲 Op. 32 (SO、1889)
・バード (1856-1923):組曲 Op. 1 (O、1882) 、組曲 (W、1889)セレナード Op. 40 (W、1898) 、第3小組曲 Op.32 (O、1892)
グリーグ (1843-1907):ホルベルク組曲 Op. 40 (P/O、1884/1885) 、交響的舞曲 Op. 64 (P/O、1896/1898)
・ティエリオ (1838-1919):セレナード Op. 44 (O、1885) 、シンフォニエッタ Op. 55 (O、1892) 、八重奏曲 Op. 62 (SW、1893)
・グノー (1818-1893):交響曲 (W、1885)
・ライネッケ (1824-1910):子供のための5つのセレナード Op. 183 (P、1885) 、八重奏曲 Op. 216 (W、1892) 、弦楽セレナード Op. 242 (O、1898)
・ダンディ (1851-1931):古風な形式による組曲 Op. 24 (SW、1886)
・ベルナール (1843-1902):ディヴェルティスマン Op. 36 (W、1888)
・ドレーゼケ (1835-1913):セレナード Op. 49 (O、1888)
・ニールセン (1865-1931):小組曲 Op. (O、1888)
・E.ハルトマン (1836-1898):セレナード Op. 43 (W、1890)
・チャドウィック (1854-1931):セレナード (O、1890)
・クレンゲル (1859-1933):セレナード Op. 24 (O、1890)
・フット (1853-1937):セレナード Op. 25 (O、1891) 、組曲 Op. 36 (O、1895)
・ヴォルフ=フェラーリ (1876-1948):セレナード (O、1892)
・スーク (1874-1935):弦楽セレナード Op. 6 (O、1892)
エルガー (1857-1934):弦楽セレナード Op. 20 (O、1892)

バーンズ交響曲第3番

某所に書く予定で考えていたのですが、明らかに長すぎたので(そして長いことに意味があるだろうとも思ったので)自分でボツにしたものです。

基本情報

原題:Third Symphony, Op. 89 (1994)
邦題:交響曲第3番(第三交響曲
作曲:ジェイムズ・バーンズ James Barnes (b. 1949- アメリカ)
時間:40分程度
難度:6(とても難しい)
出版社:Keiser Southern Music

 

名曲である。プロ・アマチュア問わずかなりの演奏頻度が確保され、広く聴かれている作品であり、特に日本での人気はかなりのもので、調べられた限りでは12種の全曲録音が市販され(市音×2、シエナ、陸中音、海上自衛隊東京音楽隊、東京藝大WO、なにわ《オーケストラル》ウィンズ、土気シビックWO、倉敷市吹奏楽団グリーンハーモニー、吹奏楽団Festa、神奈川大、近畿大。海外で見つけられた3種と比べると驚異的だ。世界的にもバーンズの交響曲のなかでは飛び抜けて演奏されているというのに)、管弦楽分野の有名交響曲でされているような、聴き比べをする楽しみも可能にしている。
技術的・編成的には決して気軽に取り上げられるわけではないものの、重厚かつ明快なドラマに貫かれた作品であり、苦労した見返りが大きく、そして確実に得られることが人気の一因だろう。これだけ知られている作品であれば、一通りのことはすでに言われている。Wikipedia日本語版をはじめとしてネット上の日本語情報も充実している。ゆえにここでは、この作品*以外*のことを話そうと思う。それでこそ、この作品についてなにを言えるかも見えてくるのではないか。

 

第1楽章 Lento

重苦しい情緒に貫かれた楽章で、全曲のドラマの起点になる。遅いテンポを基調に、展開部でテンポを上げるソナタ形式楽章であること、長大なソロを最小限の伴奏で支える書法の多用、カノン風の書法の多用、後述するが主題の造形や調性関係の類似と、ショスタコーヴィチ交響曲第5番(以下 "DSch5")第1楽章がモデルの一つになったと考えていいだろう。
スコア解説はこの楽章の主調を「ハ短調」としているが、ハ短調の三和音[C/Es/G]が鳴る瞬間はほとんどなく、実際はCを主音とする八音音階[C-Des-Es-E-Fis-G-A-B]("MTL II"。リスト、ドビュッシーバルトークストラヴィンスキーなどの用例が有名だが、部分的にはバロック音楽の時代から出現している)が楽章のほぼ全てを支配しており、限られた音選択がモノクロームな閉塞感を演出している。

冒頭でティンパニが演奏する「タ・タ・タタ|ター」(四分・四分・八分八分|四分)の動機は第1楽章全体やフィナーレでも活用され、作曲者を襲った運命を象徴する動機と考えられる。この動機の下敷きはベートーヴェンの第5番冒頭の衝撃的な開始における「運命」リズム、「タタタ|ター」だろう。(メンデスルゾーン「葬送行進曲」Op.62-3、)ブラームス第1番第1楽章、マーラー第5番、ショスタコーヴィチ第7番第4楽章、吉松隆第5番などにも時代を超えて受け継がれ、同じく象徴的な役割で登場している。性格が違う例として、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲冒頭(バーンズと同じティンパニソロだが弱音で、その次にはニ長調の和音が鳴る)も挙げておこう。
一方でベートーヴェンの動機から一音減らした「タタ|ター」(アナパイストス)を用いたのがDSch5で、冒頭のカノンが収まった直後に提示されるこの動機は楽章を通して使われつづけ、第4楽章のクライマックスでも登場する。これにシンコペーションが加われば、チャイコフスキー第6番第1楽章展開部、R.シュトラウス死と変容』、マーラー第9番第1楽章などに現れる「不整脈」のリズムにもなる。
しかしベートーヴェンから一音増やした(頭の休符に音を入れた)「タタタタ|ター」の使用は、ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲第12番や別宮貞雄第5番という例はあるがあまり多くない。ベートーヴェン動機の3音目を2つに分割したバーンズの「運命」動機はショスタコーヴィチの逆を行った選択であるとともに、この間隙を埋めるものと見てよさそうだ。

主音Cによる2度の「運命」動機のあとすぐ、チューバ独奏が第一主題を奏しはじめる。短九度(オクターヴと半音)の跳躍+順次下降[C-Des-C-B]で始まるこの主題は、DSch5冒頭で低弦が演奏する短六度(完全五度と半音)跳躍+二度下降[D-B-A]による主題を音程、音価、音数すべて拡大したものに等しい。リズムの鋭さやダイナミクスの差はあるが、跳躍の音価が短く、順次進行が長いというのも共通点だ。音色面では、バーンズ同様に家庭内の苦悩が背景にあるクック補筆版マーラー第10番の第5楽章(70年代には録音が出回っている)における、葬列を象徴するミュートした大太鼓を背景にしたチューバソロが類例と言える。
チューバとティンパニのみのテクスチュアがひとしきり続き、カデンツとしての役割を果たしこの後も印象的に使われる[Des-B-G-Des-C]音型(単純化すれば [Des-C] の短二度下降)でC音に決着。イングリッシュホルンが[Des-Es-E-Dis-G]と始まる第二主題を演奏する。第一主題が大まかに見て下降を指向するのに対し、こちらは粘り強く上向していく旋律型だが、交響曲第2番の第1楽章が厳粛な楽想とスケルツァンドな楽想をはっきりと対比していたのに対して、こちらでは二主題の性格的な対比はほとんどない(秋山紀夫の解説では一つの流れとしてまとめ、アレグロ部からを「主部」としている)。また前述のとおり調性的な対比も小さい。ただし楽章の主音のC音を低音が繰り返すのにかぶせてこの旋律は半音上のDesから始まり、DSch5でも重要になる主音/主調と半音上の対立(第1楽章第二主題が主調の半音上の変ホ短調から始まり、展開部中盤の金管の下降音型によるクライマックスや楽章ラストでは低音のニとメロディの変ホ調が同時に鳴る、など)を思わせる。

ここまで続いてきたC音の保持がチャイム・ハープ・チェレスタの高音域に移り、バスーンが再びC音から第一主題冒頭を繰りかえす。それを引きついでクラリネット群が第二主題の変型[G-As-G-B]で入ってきて、すぐにほかの楽器も加わって大規模なユニゾンによるクライマックスに発展していく。前述のとおり音選びはほとんど八音音階から外れないが、[C/Es/Fis/A][G/B/Des/E]の二つのグループを併存させて疑似的に転調を繰り返し、第一主題の下降に第二主題の上向があらがう「展開」的な部分となる。クライマックスを締めくくるのはハ(短)調の不協和音とトランペット族の [Des-C] 音型で、続いてフルート独奏に改めてG音から第二主題が現れる(C音持続が外れて伴奏は嬰ハ短調風)。

ここまでの流れを整理すると第一主題(C音から開始)→第二主題(Desから)→第一主題中心の展開(Cから)→第二主題(Gから)で、古典的なソナタ形式における提示部の繰り返しを書き下したものに近い。主題の自立性や調性の扱いの自由さが増した時代のマーラー第3番や第9番の第1楽章などにも、提示部の変奏的な繰り返しは見られる。

[Des-B-G-Des-C]の変型であるフルートの[Fes-B-Des-G-Des]に続いてC音の運命動機が爆発し、展開部が始まる。弱音のソロから展開部がいきなり最強音で始まるのは、提示部で一度音響的なクライマックスが訪れることも含め、DSch5第1楽章(やラフマニノフピアノ協奏曲第2番交響曲第2番第1楽章)よりもむしろそのさらに下敷きであるチャイコフスキー第6番第1楽章に近い。展開部序盤で不定形にうごめくような背景を作る中高音木管はリード『エルサレム讃歌』冒頭やデ・メイ『指輪物語』冒頭などが類例で、「シンフォニック」で立体的なサウンド吹奏楽で作るときの基本手段の一つ。原型はワーグナーヴァルキューレ』の「ヴァルキューレの騎行」や「魔の炎の音楽」などに現れる、揃いきらないことが理想的な効果を生む弦楽器のパッセージだろう。

展開部は運命動機を背景につきまとわせながら、ハイテンションを保ったまま進む。序盤は第一主題があまり変形せずに登場するものの、第二主題によるAllegro Ritomicoの鋭角的な音楽(『祈りとトッカータ』『ペーガン・ダンス』などを思い出すバルトーク調の変拍子マーラーバルトークを影響元に挙げる高昌帥にも通じる)を挟み、短九度上昇、短二度下降、第二主題由来の[C-C-B-Es]や[A-A-B-Es]など断片化や変形が激しくなっていく。ベートーヴェン第3番第1楽章、「田園」ソナタ第15番第1楽章などに代表される展開部の常套手段である。第一主題によるカノンから、大ユニゾン+合いの手による破局、そして低音での運命動機の最強奏と重なる第一主題、という流れ(途中に一波乱を挟むものの)はDSch5第1楽章の展開部とパラレルだ。

第一主題によるクライマックスが去ると、今度は運命動機によるC音に乗って、アルトフルートが改めて第二主題をDesから始める。DSch5第1楽章のラスト近く、E音持続の上でフルートが奏する第一主題反行形[E-F-G-As-G-B]と効果はかなり近い。DSch5の場合は第二主題再現で柔らかいニ長調カタルシスに到達したあとの薄暗いコーダだが、バーンズは調性上の・音楽の性格上の解決を与えず、あくまで鬱々とした表情を崩さずこのままコーダに入っていく。解体された第1楽章断片のあと、ラストでハープ・グロッケン・ビブラフォン・フルートに現れる第二主題動機[Des-Es-Fes-G]は、DSch5第1楽章や同じく第4番ラストを締めくくるチェレスタを連想するところだ。


第2楽章 Scherzo. Allegro moderato

皮肉な表情のスケルツォ。4楽章制の作品で舞曲楽章を第2楽章に置くのはハイドンなどにも例があるが、影響力が大きかったのはやはり、緩徐楽章とフィナーレの重厚化の帰結としてのベートーヴェン第9番や「ハンマークラヴィーア」ソナタだろう。メンデルスゾーン第3番、シューマン第2番、ブルックナー第8番、第9番などがそれに倣い、20世紀に入ってもウォルトン第1番やショスタコーヴィチ第1番、第7番、第10番などに引きつがれる。
Dsch5も第2楽章がスケルツォだがマーラーレントラーの匂いを漂わせる音楽であり、この楽章の造形の元になったのはバルトーク管弦楽のための協奏曲』第2楽章と考えられる。バルトークの場合は同じ楽器2本によるアンサンブルが基調になり、主部の再現では「2×2」や「2+1」になるが、バーンズの場合は3本や1本が基調になって、再現時にはやはりそれが組み合わされる。両端が木管中心、中間部が金管中心という設計も共通。この交響曲でのバルトークとの類似は比較的限られているが、12年ほど前に書かれた第2番では各所に意識が見られた。

なお、冒頭主題の提示は(管楽器のみで演奏される)ヴォーン=ウィリアムズ第8番第2楽章のイメージがおそらく背景にあり、最初のバスーン族3本を密集させる響き(開始はC-Cis/Des)は、ラヴェル『ダフニスとクロエ』の「ドルコンのグロテスクな踊り」やホルスト『惑星』の「天王星」などが源流だろう。低音楽器のペーソスを持ったソロはパーシケッティ『ディヴェルティメント』の「ブルレスク」なども一応の類例と言える。この楽章、とくに中間部では、パーシケッティやW.シューマン、メニンなど50年代ごろのアメリ吹奏楽を支えた新古典的な作曲家たちと共通する響きも聴かれる。

暗い諧謔を含んだ行進曲調の音楽はプロコフィエフ『3つのオレンジへの恋』の行進曲やOp.12-1、DSch5第1楽章、同じく第7番第1楽章などを思い起こさせるが、スケルツォ楽章ということではプロコフィエフショスタコーヴィチの影響がよく指摘されるジェイガーの交響曲第1番も挙げておきたい。中盤に現れる打楽器のみによる部分はこの作品や、リード交響曲第3番フィナーレを思わせる。


第3楽章 For Natalie. Mesto

美しい旋律を歌い上げる緩徐楽章。チャイコフスキー第5番(ホルンソロ、三度順次上昇や二度下降など印象的な音型の共通、三連符と二連符系の交錯)やサン=サーンス第3番(調性、二声のみの楽節)など数々の緩徐楽章が思い出されるところだが、位置付けとして近いのはマーラー交響曲、第3番第6楽章、第4番第3楽章、第9番第4楽章などだろう。俗世の葛藤から離れた、この世ならぬ音楽としてのアダージョ。スコア解説では「ABCABC」と説明されている(実際にははっきりと性格の違う「B」部分がメインであり、長い前奏と後奏が付いていると見たほうが据わりがいいが)形式も、ブロック的に並列したセクションを順に変奏していく、マーラーの緩徐楽章に典型的な流儀に近い。第1楽章にも登場したソロ・ソリに長丁場を任せる書法はショスタコーヴィチと共通し、その背後を辿ればマーラー(第3番第3楽章、大地の歌第6楽章など)の影響が指摘されている。

前2楽章とは対照的に高音域の響きから始まり、Dsch5第3楽章と共通するハープの音型に乗ってオーボエのソロが現れる。この旋律の核となる[G-F-Es]の三度順次下降は第1楽章第一主題の反映と考えることも可能だろう。楽章間で主題に共通点を持たせるいわゆる循環形式には、ベルリオーズ幻想交響曲』、チャイコフスキー第5番、ドヴォルザーク第9番、アッペルモント『ギルガメシュ』のように一定の長さの主題を変奏する場合と、ベートーヴェン第5番、ブラームス第2番、チャイコフスキー第6番、アーネスト・ウィリアムズの交響曲のように断片的な動機を潜ませる場合とがあるが、この作品を循環形式と見るならば後者に属する。

この後の旋律と同様に三度音程と四度音程が多用されるイングリッシュホルンとチェロ(バリトンサックス)のカデンツァのあと、変ニ長調に落ち着いて(第二楽章のヘ短調和音のCがDesに置き換わる!)、ホルンソロに始まる「B」部分。美しい旋律が二度繰りかえされるが、四小節単位で「A, B, A ,C」と整理できる旋律の構成、ピアノを思わせる規則的なアルペジオではっきり分離された伴奏と、とても明快な作りの音楽である。その代わり、オーケストレーションの変化や、表情豊かに動くオブリガードが後半での盛り上げに寄与する。
その後短調に移って二声だけのソリになる「C」部分は、前述のとおりサン=サーンス第3番の第1楽章後半に近しいが、Dsch5第1楽章後半(第二主題再現直後)にも音型的に類似する箇所がある。その後は前半の音楽を変形しながら繰りかえす。「A」部分は短縮され、「B」部分は大きなクライマックスを築き、それを鎮めるために少し引き伸ばされた移行部を経て、「C」の変ロ短調のまま(R.シュトラウスアルプス交響曲』を思い出す低音の密集和音で ) 楽章が締めくくられる。

「B」部分のクライマックスでは、クラリネットとサックスがアルペジオを演奏して和音の響きの立体感を増す役に回り(イメージはR.シュトラウスなどの使う、弦四本を行き来する幅の広いアルペジオだろう)、朗々と歌い上げる主旋律・対旋律はそれ以外の楽器に託されているが、フルート族・オーボエ族・ホルンのグループにはグロッケンシュピールヴィブラフォンとともに「Strings」と指示されたシンセサイザーが重ねられる。
なお、スコア上ではシンセサイザーが使われるのはこの場面だけではない。編成表では鍵盤楽器は「PIANO/CELESTA/SYNTHESIZER」と書かれているが、シンセサイザーチェレスタの音色に設定してアコースティックピアノと併用するように書かれており、実際委嘱団体であるアメリカ空軍軍楽隊の録音では、チェレスタが登場する箇所で残響の長い合成音らしい音色が聴こえる。こうしてシンセサイザーに複数の音色を割り当てて活用する手法は、この作品を含むバーンズの90年代の作品いくつかに見られるものだ。例えば前年に陸軍バンドのために書かれた『ロンリー・ビーチ』では、波の音のエフェクトやオルガンの音色のほか、ハープの補強の役割が与えられ、いっぽう高校のバンドのために書かれた「モラヴィアの賛歌による変奏曲」では、バンドにオルガン・ハープ・チェレスタやストリングスの音色を加えるほかに、金管合奏や木管合奏の補強のためにも用いられており、しかもシンセサイザーが使えない場合はテクスチュアが欠けないことを優先し、ピアノでの代奏も可としている(「大きすぎないように」との指示もある)。
この場面のシンセサイザーは、どうしても弦楽が入ったサウンドが必要だったというよりも、むしろ充実した伴奏に旋律が埋もれないための、補強としての用法と考えられるかもしれない。全曲の一つのクライマックスに向けて編成の中で「余って」いたシンセサイザーも参加させ、高音域で長音を演奏させるにあたって、ほかの楽器の邪魔をすることなく、かつアコースティックな世界を離れない音色の選択として弦楽器が選ばれたのではないだろうか。


第4楽章 Finale. Allegro giocoso

前進する力に満ちたフィナーレ。交響曲第2番の英雄的なフィナーレ――劇場版『スタートレック』のテーマや自作『イーグルクレスト』([F-B-Es-F]を枠に上昇する旋律)、映画『スーパーマン』のテーマ(6/8拍子系のリズム)を思わせる――をひな形としてふたたび取り上げたような楽章で、第2番の第1楽章に含まれる厳粛な楽想とスケルツァンドな楽想の並置が今回第1・第2楽章に振り分けられたのと同様、あちらのフィナーレにあった経過部の多調的な和声や、拍子を変えたフーガ、バルトーク管弦楽のための協奏曲』フィナーレ風の展開などは取り除かれ、ほぼ定型通りのソナタ形式の楽章としてより古典的なまとまりを持っている。20年ほど後に作曲した第九交響曲の解説においてバーンズは、「交響曲はただ規模の大きい、長い音楽作品ではない。交響曲とは形式なのだ。(…)作品のうち最低でも一つの楽章はなんらかのソナタ形式でなければならない」ときわめて伝統的な交響曲観を披露しているが、歴史的に終楽章とソナタ形式との結びつきは多少ゆるく、バーンズも終楽章においてここまで正統的なソナタ形式を採用するのは珍しい。

冒頭のホルンのファンファーレ、そして第一主題は第1楽章第一主題の短九度跳躍をオクターヴ跳躍に整形したものと考えられるだろう。6/8拍子を3分割するリズムは第1楽章の「運命」動機の変形とみなせる。短三度転調(バーンスタイン「トゥナイト」やスウェアリンジェン『インヴィクタ』が類例だが、ここでは輝かしい音色変化とセットになっている)を経て、トゥッティでの確保(対提示)はソナタ形式の古典的な流れ。序奏の楽想が呼びもどされたのに重なって運命動機が現れ、それに導かれるように第二主題が現れる。第一主題のハ長調に対し王道のト長調で、第一主題とともに四度音程が軸になっている点で第3楽章中心主題と結びついているとも考えられる。

木管群を中心に引用されるコラール「神の子羊」は、バーンズはルーテル教会で歌われている歌として出会ったというが、もとはプロテスタントの一宗派、モラヴィア兄弟団のなかで18世紀に生み出された曲がアメリカに伝わったもの。音楽活動が盛んだったモラヴィア兄弟団はハルモニームジーク Harmoniemusik と呼ばれる木管アンサンブルをアメリカに持ち込んでいたという(偶然の)符合もある。
ヘンリエッテ・ルイーゼ・フォン・ハイン (Henriette Luise von Hayn) による原詩は "Weil ich Jesu Schäflein bin" といい、神の子羊を紋章に掲げるこの宗派の教えとも関わる。旋律付けは複数存在するが、これは同じくモラヴィア兄弟団の関係者であるクリスティアン・グレゴール(Christian Gregor)が1784年に最初に記録したもので、スコア解説で引用されている英訳詞はアイルランド生まれのウィリアム・スティーヴンソン (William Fleming Stevenson) のもの。同様の有名コラール、たとえば「神はわがやぐら」や「暁の星はいと麗しかな」などと違い、ルター派カトリックの一般に有名な作曲家の引用例があまり見当たらないのは、こうした出自のためだろう。

展開部は第一主題を軸に序奏の付点リズムを絡め次第に盛り上がった(金管がカノン状に堆積して塊になる展開はバルトーク管弦楽のための協奏曲第1楽章が発想源だろうか)あと、運命動機が現れ、第二主題を変形させた断片をちりばめた静かな部分に入る。展開部の後半で動きの少ない「凪」が訪れるのはブラームス第1番、第3番や、メンデルスゾーン『夏の夜の夢』序曲などに例があるが、特に高音のオクターヴで保持される持続音と、四度を含む旋律線という作りの点でブラームス第2番第4楽章や『悲劇的序曲』がより近い。さらに連想ゲームを続けるなら、この部分の終盤でチューバを始めとする低音に、主題の音型を変更してまで[E-H-C-G]という下降四度の連続が現れる。前述のブラームス第2番のほかに、例えばワーグナーパルジファル』の「鐘の動機」、フランク『前奏曲、コラールとフーガ』、マーラー第1番などでも印象的に使われている音型だ。

これを機に第一主題の動機が絡んで音楽は活力を取り戻しはじめ、運命動機を露払いに再現部に突入する。第一主題部はほぼ提示部をなぞり、しかし華やかさを増した音色で進み、今回はクレッシェンドして、型通りのハ長調による第二主題が全曲の到達点にあたるクライマックスを形作る。金管楽器によるコラールと、木管楽器の細かい動きを対位法的に並置する書法は特殊なものではない(バーンズ自身も『アルヴァマー序曲』『アパラチアン序曲』で使っている)が、ブリテン青少年のための管弦楽入門』のラストがモデルとして推定できるだろう。チェザリーニ『ソレンニタス』やスパーク『二つの流れのはざまに』『天と地が動くとき』などがより直接的に展開を参照しているほか、バーンズは『パガニーニの主題による幻想変奏曲』で、楽器紹介的な性格の変奏曲という発想を借りている。さらに遡れば、ブリテンとは晩年に作品を献呈しあう盟友同士だったショスタコーヴィチの第1番第2楽章、レーガーの『モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ』、マーラーブルックナーメンデルスゾーンの各第5番フィナーレ、ベートーヴェン第9番フィナーレのクライマックスと伝統をたどっていくこともできる。

クライマックスを抜けた先、運命動機が降り注ぐなかでふたたびDSch5の影が戻ってくる。一つの音を繰り返し続ける高音楽器、A-D-E-Fis ならぬ [A-C-D-E]と上昇する金管楽器、主音と属音を繰り返すティンパニの合いの手(ここではホルン・フリューゲルホルンの第一主題も重なっているが)、という構成要素はDSch5フィナーレのコーダとかなり近いところにある。この曲の内部に関連を探すなら、第1楽章第一主題(≒フィナーレ第一主題)やフィナーレ第二主題に含まれた順次下行の反行形、あるいは第1楽章ラストの順次上行する三音が由来だろうか。
DSch5のコーダの場合は二長調和音に対して「半音上」のBが激烈な衝突を生むが、バーンズの場合はハ長調のテクスチュアのなかで同じく短六度音のAsが響き、さらにこのセクション最後では変ニ長調和音が鳴るとともに低音が(簡略化すると)[Es-Des-C-B-As-Ges-Des]と進行する。CとDesの衝突がCに解決する瞬間は、DSch5ラストにおけるD音上のB→Aの解決が第1楽章の冒頭を繰り返しているように、この交響曲においても全曲の冒頭、チューバソロから張られていた伏線が回収されるときにほかならない。

四拍子のマーチを集めよう

○おもにオリジナルで「行進曲」「行進」と呼ばれているもの
○葬送行進曲は除外
○"C" や4/4表記でも実際には遅い2拍子に取って運用されていることも多いが、細かく排除はしていない
○なるべく原典版や全集版、なければ広く通用している版を優先的に参照したが、別の版では2/4や2/2で表記されている場合もある


ヘンデル:オペラ『リナルド』第3幕「行進曲」(1711) <2曲あるが両方>
ヘンデル:オペラ『シピオーネ』第1幕「行進曲」(1726)
・フリードリヒ2世:行進曲 (1741)
・フリードリヒ2世:モルヴィッツ行進曲 (1741)
ヘンデル:オペラ『ヘラクレス』第1幕「行進曲」(1744)
・伝フリードリヒ2世:ホーエンフリートベルク行進曲 Der Hohenfriedberger Marsch (1740s?) <ピーフケ『ケーニヒグレーツ行進曲』Der Königgrätzer Marsch (1866)トリオでは2/4記譜>
・フリードリヒ2世:行進曲 (1756)
C.P.E.バッハ:March, für die Arche Wq 188 (1767?)
C.P.E.バッハ:2 March Wq 187 (1767?)
・W.A.モーツァルト:行進曲 K.249 (1776)
・W.A.モーツァルト:行進曲 K.408-2/385a (1782)
・W.A.モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』第3幕フィナーレ「行進曲」Marcia (1786)
ベートーヴェン:『騎士のバレエ』第1曲「行進曲」(1790)
・F.J.ハイドンプリンス・オブ・ウェールズのための行進曲 (1792)
・M.ハイドンコーブルク行進曲 Der Coburger (1792or93)
・ケルビーニ:オペラ『メデア』第1幕「行進曲と合唱」(1797)
・ギヨーデル:マレンゴの執政親衛隊行進曲 Marche de la garde consulaire à Marengo (1800)
ベートーヴェン:劇付随音楽『プロメテウスの創造物』第8曲「行進曲」(1800-01) <序奏で2拍目にアクセントあり>
ベートーヴェン:行進曲 Op.45-1 (1803)
ベートーヴェン:オペラ『フィデリオ』第1幕「行進曲」(初稿1805)
・不詳:ブラウンシュヴァイク公爵行進曲 Marsch Herzog Von Braunschweig (1806)
ベートーヴェン:劇付随音楽『エグモント』第5曲「行進曲」(1810-11)
ベートーヴェン:劇付随音楽『アテネの廃墟』第8曲「行進曲と合唱」(1811) <「トルコ行進曲」は2拍子>
ベートーヴェン:劇付随音楽『シュテファン王』第3曲「戦勝行進曲」Siegesmarsch (1811)
ベートーヴェン:行進曲 WoO24 (1816)
シューベルト:軍隊行進曲 D. 733-2,3 (1818)
シューベルト:大行進曲 D.819-1,2,4,5,6 (1818?)
・C.M.v.ウェーバー:オペラ『魔弾の射手』第1幕「農民の行進」Bauernmarsch (1821)
・C.M.v.ウェーバー:コンツェルトシュトゥック第3部 (1821) <"Tempo di Marcia" との指示のみ>
・C.M.v.ウェーバー:オペラ『オベロン』第3幕フィナーレ「行進曲」Marcia (1826)
シューベルト:大英雄行進曲 D.885 (1926)
・J.N.フンメル:ローマ風行進曲 Op.111a-1 (1828)
・C.チェルニー:3つの大行進曲 Op.79 (1829?)
ベッリーニ:オペラ『ノルマ』第1幕、ポリオーネのカヴァティーナ "Me protegge, me difende" (1831) <"Allegro Marziale"の指示。第1幕冒頭の「予言の力で」"Dell'aura tua profetica" とともに行進曲として扱われる>
ベッリーニ:オペラ『清教徒』第2幕、ジョルジョとリッカルドの二重唱 "Suoni la tromba" (1835) <楽譜に明記はないが『「清教徒」の行進曲』として扱われることがある>
メンデルスゾーン:行進曲 Op.103 (1841)
メンデルスゾーン:劇付随音楽『夏の夜の夢』第9曲「結婚行進曲」Hochzeitmarsch (1842)  <実際は2/2で取ることが多いはず>
メンデルスゾーン:劇付随音楽『アタリー』第4曲a「僧侶の戦争行進曲」Kriegsmarsch der Priester (1845)
・メーレンドルフ:閲兵行進曲 Präsentiermarsch 第1番 (1846)
・R.シューマン:4つの行進曲 Op. 76 (1849)
・R.シューマン:12の連弾曲 Op. 85 第1曲「誕生日の行進曲」Geburtstagmarsch 第7曲「馬上試合の行進」Turniermarsch (1849)
マイアベーア:オペラ『預言者』第4幕「戴冠式行進曲」Marche du Sacre (1838-49)
・リスト:ゲーテ記念祭によせる祝典行進曲 S.227 (1849) <管弦楽版 (1859) は¢>
・リスト:スケルツォとマーチ S.177 (1851)
・リスト:ハンガリー狂詩曲第15番「ラコッツィ行進曲」(最終形1853)
ベルリオーズ:オペラ『トロイ人たち』第1幕フィナーレ「トロイ人の行進」Marche Troyenne (1856-58、1864抜粋編曲)
・グノー:オペラ『ファウスト』第4幕、兵士の合唱 "Gloire immortelle" (1856-1859) <"Marziale" 指示のみ。行進曲として扱われることがある>
マイアベーア:シラー生誕100年祭のための祝典行進曲 Festmarsch zu Schillers 100 jähriger Geburtstagsfeier (1859)
マイアベーア戴冠式行進曲 Krönungsmarsch (1861)
・F.ラハナー:組曲第1番 Op.113 第3曲「変奏曲と行進曲」(1861)
ブルックナー:行進曲 WAB 96 (1862)
・ラフ:組曲第1番 Op.101 第5曲「行進曲」(1963)
・R.ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第3幕第5場(1862-67)<「組合の入場」Aufzug der Zünfte「マイスタージンガーの入場」Aufzug der Meistersinger と言及されることがある>
ヴェルディ:オペラ『アイーダ』第2幕第2場 (1870-1871) <楽譜には「行進曲」と明記なし>
・R.ワーグナー:皇帝行進曲 WWV 104 (1871)
・リスト:オラトリオ『キリスト』第1部 「行進曲」Die heiligen drei Könige: Marsch (1866-72)
グリーグ:劇付随音楽『十字軍の兵士シグール』第5曲「誓忠行進曲」Hyldningsmarsj (1872)
・マスネ:組曲第4番『絵のような風景』第1曲「行進曲」(1872)
ビゼー:オペラ『カルメン』第3幕冒頭 (1873-74) <オペラの譜面に明記はないがギロー編の組曲 (1887出版)で "Marche des Contrebandiers" と表記>
・R.ワーグナー:大祝典行進曲 WWV 110 (1876)
・P.I.チャイコフスキー:スラヴ行進曲 Op.31 (1876)
・P.I.チャイコフスキー:義勇艦隊行進曲 The Volunteer Fleet March / Добровольный флот марщ (1876)
R.シュトラウス:祝典行進曲 Op.1 (1876)
・C.シューマン:行進曲 変ホ長調 (1879)
ドヴォルザーク:祝典行進曲 B.88 (1879)
・スーザ:ガーフィールド大統領就任式マーチ (1881)
・P.I.チャイコフスキー戴冠式祝典行進曲 (1883)
・P.I.チャイコフスキー法律学校行進曲 Jurisprudence March / Правоведский марш (1885)
・P.I.チャイコフスキー:バレエ『眠れる森の美女』プロローグ、第3幕「行進曲」(1890)
・P.I.チャイコフスキー:バレエ『くるみ割り人形』第1幕「行進曲」(1892)
・P.I.チャイコフスキー:軍隊行進曲 (1893)
エルガー:帝国行進曲 Op.32 (1897)
エルガーカンタータ『カラクタクス』 第4景「凱旋行進曲」Triumphal March (1897-98)
・ライネッケ:セレナード Op.242 第1楽章「行進曲」(1898)
・スーザ:ピッツバーグの誇り (1901)
サン=サーンス戴冠式行進曲 Op.117 (1902)
エルガー:行進曲『威風堂々』第3番 (1904)
R.シュトラウス:Parade-Marsch Nr.1 TrV 213 (1905)
R.シュトラウス:2つの軍隊行進曲 Op.57 (1906)
R.シュトラウス:軍隊祝典行進曲/国王行進曲 TrV 217 (1906)
・ブリッジ:『ロンドンのページェント』第1曲「荘重な行進曲」Solemn March: Richard III leaving London (1911)
エルガー戴冠式行進曲 Op.65 (1911)
エルガー:宮廷仮面劇『インドの王冠』第2場「行進曲」(1911-12)
・フローラン・シュミット:『ユモレスク』Op.43 第1曲「軍隊行進曲」(1912)
・ベルク:管弦楽のための3つの小品 第3曲「行進曲」(1914-15)
シベリウス:2つの行進曲 Op. 91 (1917-18)
・スーザ:結婚行進曲 (1918)
プロコフィエフ:オペラ『3つのオレンジへの恋』第2幕から行進曲 (1919) <オペラでは "Tempo di marcia animata" とのみ。組曲版 (1919/24)で "March" と明記>
・ベルク:オペラ『ヴォツェック』第1幕第3場 (1914-22) <楽譜には "Marschtempo" とのみ。ベルク自身が「軍隊行進曲」Militarmarsch と言及している>
エルガー:帝国行進曲 Empire March (1924)
フレッチャー:『エピック・シンフォニー』第3楽章「英雄行進曲」(1926)
・G.ジェイコブ:『オリジナル組曲』第1曲「行進曲」(1928)
・アイヴズ:オーケストラル・セット第1番『ニューイングランドの3つの場所』第2曲「コネティカット州レディング、パットナム将軍の野営地」 (1929完成) <題名に"行進曲"とは謳われていない。同じ素材を使った『カントリー・バンド行進曲』は2/4拍子>
R.シュトラウス:オペラ『無口な女』第1幕「ユーモラスな小さい行進曲」Kleiner humoristischer Marsch (1933-35)
プロコフィエフ:子供のための音楽 Op.65 第10曲「行進曲」(1935)
プロコフィエフ:行進曲 Op.69-2,3 (1936)
プーランク:2つの行進曲と間奏曲 (1937) <第2曲は5拍子と交代>
ブリテン:ピアノ協奏曲 第4楽章「行進曲」(1938/46)
・齊藤丑松:行進曲『大日本』(1940)
・バーバー:コマンド・マーチ (1942)
・W.ヒートン:Praise (1949)
ウォルトン戴冠式行進曲『宝玉と王の杖』(1953)
ウォルトン:『英語国民の歴史』A History of the English-speaking Peoples 行進曲 (1959)
團伊玖磨:祝典行進曲 (1959)
・C.ウィリアムズ:シンフォニアンズ (1960)
ポール・アンカミッチ・ミラー編曲):『史上最大の作戦』マーチ (1962) <エンドタイトル>
・E.バーンスタイン:『大脱走』メインタイトル (1963) <サウンドトラックに "マーチ" との記載はない>
古関裕而:オリンピック・マーチ (1964)
團伊玖磨キスカ・マーチ (1965)
・ジェイガー:『第三組曲』第1曲「行進曲」(1966) <4+3拍子>
・グレグソン:マーチ・プレリュード (1968)
・G.ジェイコブ:Sospan Fach (1970)
山本直純:白銀の栄光 (1972)
岩井直溥:シンコペーテッド・マーチ『明日に向かって』(1972課題曲)
・斉藤高順:コンサートマーチ『ブルー・インパルス』(1972) <拍子記号は¢>
・J.ウィリアムズ:『ミッドウェイ』マーチ (1976) <エンドタイトル>
團伊玖磨(時松敏康編曲):ブラスオーケストラのための『行列幻想』第1曲「男の行列」第2曲「女の行列」(1977)
・池上敏:コンサートマーチ '77 (1977)
間宮芳生:行進曲『岩木』(1977)
・藤田玄播:行進曲『若人の心』(1977課題曲)
・スタニェク:メイド・イン・ヨーロッパ (1978)
・J.ウィリアムズ:『スーパーマン』マーチ (1978) <メインタイトル>
・J.ウィリアムズ:『1941』マーチ (1980) <メインタイトル>
斎藤高順:行進曲『オーバー・ザ・ギャラクシー』(1980課題曲)
・W.ヒートン:Le Tricot Rouge (1980s?)
・D.ブルジョワ:『シンフォニー・オブ・ウインズ』第3楽章「マーチ・ウインズ」(1980)
・J.ウィリアムズ:『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』「帝国のマーチ」(1980)
・J.ウィリアムズ:『レイダース 失われたアーク』マーチ (1981) <メインタイトル>
・ジェイガー:エスプリ・ドゥ・コール (1984)
團伊玖磨:行進曲『希望』(1988)
別宮貞雄:行進曲『清くあれ、爽やかなれ』(1989課題曲)
岩井直溥:ポップス・マーチ『すてきな日々』(1989課題曲)
間宮芳生:マーチ『カタロニアの栄光』(1990課題曲)
團伊玖磨:新・祝典行進曲 (1993)
・上岡洋一:マーチ『潮煙』(1993課題曲)
・高島豊:第1行進曲『ジャンダルム』(1995課題曲)
・内藤淳一:マーチ『夢と勇気、憧れ、希望』(1997課題曲)
天野正道:フェスティヴァル・マーチ (1998)
天野正道:マーチ '98 (1998)
・アッペルモント:リオネッス (1999)
・小長谷宗一:マーチ『未来の風』(2000)
・ドス:イル・ブリコーネ (2001)
・スパーク:インヴィクタス (2001)
・伊藤康英:マーチ『ふじの山』(2003)
真島俊夫:ナヴァル・ブルー (2003)
・星出尚志:ラ・グラン・マルシュ (2003)
・マッキー:クセルクセス (2010)
・ドス:コンダクターズ・マーチ (2012)
・アッペルモント:十字と王冠 (2012)
・バルメイジス:Marche Diabolique (2014)
スタンドリッジ:ダークランズ・マーチ Darklands March (2014)
・スパーク:セカンド・トゥ・ナン (2015)
・O.シュワルツ:スカイライナー (2015)
・ベンジャミン・ヨー:Future of Tomorrow (2016)